目 次 : (1) 水質総量規制の背景と目的 / (2) 水質総量規制の歴史
(1) 水質総量規制の背景と目的
1) 水質総量規制の目的は「閉鎖性水域の富栄養化を改善すること」です。
人間の生活活動や産業活動により、排出される炭素、窒素、りんが増加した結果
→ 生物の異常増殖(赤潮等) → 死骸の堆積 → 水質の悪化 → 生物の異常増殖…。
閉鎖性水域ではこのような悪循環が起こります。
①水質総量規制はこの悪循環を断ち切るための法規制です。
②水質汚濁防止法に基づく「濃度の基準」だけでは環境基準の確保が困難な地域のための制度です。
③「濃度(C値)×水量」で得られる値:汚濁負荷量を総合的に削減する制度です。
人間の生活活動や産業活動により、排出される炭素、窒素、りんが増加した結果
→ 生物の異常増殖(赤潮等) → 死骸の堆積 → 水質の悪化 → 生物の異常増殖…。
閉鎖性水域ではこのような悪循環が起こります。
①水質総量規制はこの悪循環を断ち切るための法規制です。
②水質汚濁防止法に基づく「濃度の基準」だけでは環境基準の確保が困難な地域のための制度です。
③「濃度(C値)×水量」で得られる値:汚濁負荷量を総合的に削減する制度です。
2) 昭和54年(1979年)からCODの水質総量規制が開始しました。
人口や産業が集中し、汚濁が著しい以下の閉鎖性水域に導入されました。
これらを「指定水域」と呼びます。指定地域は以下の通りです。
23都府県が総量削減に関係しています。
エリア | 関係都道府県 | ||
---|---|---|---|
東京湾 | 東京湾等 | 4都県 | 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 |
伊勢湾 | 3県 | 岐阜県、愛知県、三重県 | |
瀬戸内海のうち大阪湾 | 5府県 | 京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 | |
瀬戸内海(大阪湾を除く) | 瀬戸内海 | 11県 | 兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県 山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県 |
第7次水質総量規制で「東京湾等」と「瀬戸内海(大阪湾をのぞく)」
の区別が明確になりました。これは、瀬戸内海(大阪湾をのぞく)の
水質が他水域と比較して良好な状態にあるためです。
第7次総量削減計画(目標年度 平成26年度)では目標を達成しましたが、
依然として環境基準達成率が低く、大規模な貧酸素水塊も発生しているため、
今後も水環境改善を進める必要があると考えられています。
3) 第5次水質総量規制より、窒素、りんも規制に加わりました。
第1次水質総量規制以降、ほぼ5年に1回、見直しが行われています。
第5次水質総量規制の窒素、りん項目追加は大変大きな改正でした。
COD、窒素、りんの「汚濁負荷量測定義務」は以下の通りです。
JIS規格に基づく検定方法で測定し、負荷量を演算し、結果を記録します。
日平均水量 | 測定頻度 |
---|---|
400㎥以上 | 排水の期間中毎日 |
200㎥以上400㎥未満 | 7日を超えない排水の期間ごとに1回 |
100㎥以上200㎥未満 | 14日を超えない排水の期間ごとに1回 |
50㎥以上100㎥未満 | 30日を超えない排水の期間ごとに1回 |
「特定排出水」のみの水量をさすのではないところにご注意ください。
★今後の方向性や考えられる施策 ① 水質総量規制は5~6年毎に改正されています。
前回2011年に第7次へ改正された後、2017年に第8次が出ました。
② 今後、「東京湾等」ではCOD、窒素、りんのみならずBOD、SSその他の項目の管理が重要視されるかもしれません。 (濃度だけでなく、水量の削減も重要視される可能性あり)
③ 今後、「瀬戸内海」では富栄養化が解消された閉鎖性水域の窒素、りん等の栄養塩類の管理が重要視されるかもしれません。 (今後の各種モニタリングの重要性が問われる)
(2) 水質総量規制の歴史
水質総量規制は下表の様に実施されてきました。2017年9月1日から第8次水質総量規制が始まります。
★上記表にある、水質総量規制の「基本方針策定日」「適用日」「目標年度」とは何でしょうか? ①基本方針策定日:公害対策会議の議を経て環境大臣が策定します。
対象閉鎖性水域の水環境改善のため、総量削減目標等を掲げたものが発表された日です。
②適用日:各都道府県知事が基本方針に基づき策定した、総量規制基準が適用され実際の規制が開始する日です。
③目標年度:既設、新設に関わらず = 全事業場に規制が適用される年度です。
つまり、2019年4月1日から既設施設にも第8次基準が適用されています。
★えぇっ!? 既設、新設に関わらず…とは、詳しくはどういうことですか? 水質総量規制基準値は
「時期区分」 「業種等の区分」 「C値」の3つで決まります。 この内容について詳しくは次回
(3)新設・既設の扱い
(4)「特定施設」の考え方
に続きます。
総量規制 | 対象項目 | 基本方針策定 | 適用日 | 目標年度 |
---|---|---|---|---|
第1次 | COD | 1979年6月 | 1980年7月1日 | 1984年度 |
第2次 | COD | 1987年1月 | 1987年7月1日 | 1989年度 |
第3次 | COD | 1991年1月 | 1991年7月1日 | 1994年度 |
第4次 | COD | 1996年4月 | 1996年9月1日 | 1999年度 |
第5次 | COD・窒素・りん | 2001年12月 | 2002年10月1日 | 2004年度 |
第6次 | COD・窒素・りん | 2006年11月 | 2007年 9月1日 | 2009年度 |
第7次 | COD・窒素・りん | 2011年 6月 | 2012年 5月1日 | 2014年度 |
第8次 | COD・窒素・りん | 2016年9月 | 2017年9月1日※ | 2019年度 |
★上記表にある、水質総量規制の「基本方針策定日」「適用日」「目標年度」とは何でしょうか? ①基本方針策定日:公害対策会議の議を経て環境大臣が策定します。
対象閉鎖性水域の水環境改善のため、総量削減目標等を掲げたものが発表された日です。
②適用日:各都道府県知事が基本方針に基づき策定した、総量規制基準が適用され実際の規制が開始する日です。
③目標年度:既設、新設に関わらず = 全事業場に規制が適用される年度です。
つまり、2019年4月1日から既設施設にも第8次基準が適用されています。
★えぇっ!? 既設、新設に関わらず…とは、詳しくはどういうことですか? 水質総量規制基準値は
「時期区分」 「業種等の区分」 「C値」の3つで決まります。 この内容について詳しくは次回
(3)新設・既設の扱い
(4)「特定施設」の考え方
に続きます。
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